シュガーレスでお願いします!

「もっと早く言ってくださればよかったのに!!」

助け舟を出した私には一番に知らせてもらえると思っていたのに、上野先生の薄情者っ。

「その……俺があの時、比呂先生を事務所に置いていかなかったら、例の事件は起こらなかったわけで……。そう思ったら言い出しづらくて……」

事務所を挙げてのお祝いムードに負い目を感じて、上野先生はもっともらしい言い訳を始めた。

上野先生の言い分もわからないでもないが、それとこれとは別問題だ。

「当店にウェディングケーキを発注して頂けるのでしたら、すぐにでもチャラにしますよ」

慶太が右手を見せながら冗談めかして言えば、上野先生は勘弁してくれとタジタジになった。

その日、風邪を引いた遠藤さんの元にいそいそと駆けつける上野先生の姿が目撃されたのだった。

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