シュガーレスでお願いします!

「店の中に入らないの?」

ヤモリのように扉にへばりついていた私に、大輔さんは何も聞かず気安く声を掛ける。

「あ、あの!!直ぐ帰るつもりなので……!!」

両手を横に振って断ろうとすると、今日が久々の慶太の出勤日なのを思い出してピンときたのか大輔さんがニマーっと笑って頷いた。

「いいから、いいから。とりあえず寄って行きなよ」

大輔さんは入口の扉を開けると、遠慮するなとばかりに店の中に私を招き入れた。

「慶太、比呂先生が来てるぞ!!」

「大輔さん!!」

ただ、招き入れただけでは飽き足らず厨房に続く扉を開け放ち、慶太にこちらに来るように促す。

(わざわざ呼ばなくてもいいのに!!)

大輔さんなりに気を遣ってくれているのは分かるが、内緒で様子を見に来たのにこれでは台無しだ。

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