シュガーレスでお願いします!
「比呂、どうしたの?仕事は?」
慶太はコックコート姿で店頭にやって来ると、今朝がた仕事に出かけて行ったはずの私が、私服でsoleilにいるものだから不思議そうに首を傾げた。
「休みをもらったんだ。慶太のことが気になって……」
ここまできたら隠す必要もないと速攻でネタバラシをする。
「比呂が心配することないよ。違和感もないし」
慶太は右腕を見せるとわざと手を握ったり開いたりして健在をアピールした。
抜糸を終えたばかり、すぐに元通り治るはずがない。それでも不満を漏らさないのは、私の罪悪感を少しでも減らすためだ。
……どこまで私を甘やかす男だ。
慶太は大輔さんに隠れるようにして、私の耳元でそっと囁く。
「今日は早く帰る。約束、忘れてないよね?」
「あ、うん……」
私の顔はゆでだこのように真っ赤になり、身体は羞恥で燃えるように熱くなった。
“怪我が治ったらめちゃくちゃ抱く”
慶太は無事、職場復帰した今夜、約束を果たそうと言っているのだ。
“節度を持て”と言って、慶太という名の甘味を絶ってから、既に3か月。
すごく恥ずかしいけれど、私だってもう受け身ではいられない。
結局私はこの男のことがたまらなく好きで、過剰な愛情表現を歓迎していることが分かっただけだった。
色々と足掻いてみたけれど、全部無駄に終わったみたいでちょっぴり悲しい。