シュガーレスでお願いします!

「よく、この店にノコノコ顔が出せたものですね」

浮き足だっていた私は一瞬にして頭から氷水を落とされたように背筋が冷えた。

「清水さん……」

清水さんは慶太と同じように厨房から店頭にやって来ると、悪意のこもった瞳でこちらを睨んだ。

清水さんと相対すると、いつも自分が悪いことをしているような気にさせられるが、今日ばかりは何も言えなくなる。

「有馬さんの怪我はあなたのせいだってお忘れですか?頭は良いくせにこれしきのこと覚えていられないんですか?」

「清水さん、やめてくれ。それ以上、比呂を貶めることを言うなら、俺にだって考えがある」

慶太は清水さんに怪我の責任を追及された私を、クビをちらつかせることで庇おうとした。夫としては満点の行動だが、雇用主としては不適切な発言である。

「慶太、いいんだ。彼女の言う通りだ」

清水さんの言うことは一理どころか百理ある。慶太の怪我はすべて私の責任だ。

少なくとも私が弁護士でなかったら、慶太が巻き添えを食うことはなかっただろうし、不用意な行動に走らなければ、怪我をさせることもなかった。

責任の所在を認めたことで、調子を良くしたのか清水さんは何かを企むようにニイッと唇の端を上げて意地悪く笑った。

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