シュガーレスでお願いします!
私と清水さんとの勝負はsoleilの営業が終わったあと、2階にあるカフェスペースで行われた。
閉店後の店内には、私と清水さん、慶太の姿。そして、見届け人として大輔さんが立ち会ってくれることになった。
「ケーキに誓って不正はしません」
「わかった」
パティシエとして進退をかけた勝負だけに、不正はしないだろう。不正をしようとしても、大輔さんと慶太が見守る中ではほぼ不可能だ。
「比呂……」
慶太が心配そうに私を見守っている。
多分、清水さんは私が甘い物を食べられない体質だということを知っているのだと思う。
そうでなければ、こんな勝負を持ちかけることはしないだろう。
つまり、状況は圧倒的に私に不利だ。
しかし、勝負に向かう私の意思は変わらない。
心配そうに私を見守る慶太を振り切るように、用意された椅子に座り、フェイスタオルで目を覆い隠した。
目隠しをすると本当に目の前の物が一切見えなくなる。
目隠しがしっかりとされていることを確認すると、清水さんがテーブルにケーキを運んでくる。
カチャカチャと食器とフォークが擦れる音がした後、私の手にフォークを握らせた。
大きく口を開け舌の上にフォークが乗せると、そのままバクリと口を閉じフォークを引き抜く。
初めて食べる慶太のケーキをじっくりと舌で味わっていく。