シュガーレスでお願いします!
「大丈夫、比呂にも食べられるように作ったから」
「せめて……ゴミ箱を」
万が一吐いてもいいようにゴミ箱を用意しようとオロオロする私を、慶太がピシャリと跳ねのける。
「だーかーらー!!平気だって!!もし吐いたら俺が受け止めるから!!」
慶太がお手本を示すように、手でお椀をつくる。
いや、死んでもそこに吐きたくない!!
しかし、とにかくひとくち食べないことには、この場はおさまりがつきそうもない。
本当に吐いたら慶太のせいだ。お望み通りぶちまけてやるから覚悟しろよ。
私は心の中で恨み節を言ってから、ケーキを皿に取り分け、目を瞑りながらフォークを口に運んだ。
最初に口に感じたのはリンゴの酸味とスポンジの柔らかさ。クリームはほんのりと甘いのにくどくなくて……。
「美味しい……」
「な?平気だろ?」
私は信じられなくて、もうひとくちこのリンゴのケーキを口に入れた。
しっかり味わってから、ゴクリと飲み込んでみたが、二口目を食べたというのに、吐き気も震えも起きない。