シュガーレスでお願いします!
「比呂先生、この間頼んでおいた販売契約書のドラフト見せてくれる?」
「わかりました」
五十嵐先生にそう言われ、私はすぐさまパソコンを操作した。
ドラフトというのは、企業間における契約書の草案のことである。
企業間の取引には鉛筆ひとつ買うにも契約が必要であり、契約書の内容によっては極めて高度な法律的な知識が必要になってくるケースがある。
後々紛争にならないように、紛争になったとしてもクライアントが不利にならないように契約書に問題がないかどうかチェックしたり、アドバイスするのも弁護士の仕事の一つである。
「あっ」
私はパソコンの中にあるフォルダを開くとすぐに異変に気がついた。
嘘……フォルダの中身がなくなっている。
昨日のうちに仕上げて、確かにこのフォルダに保存しておいたはずなのに……。
もしかして間違って消してしまったのだろうか?
試しに他のフォルダを探してみるが、目当てのファイルは一向に見つからない。
気持ちばかりが焦る中、いつまで経ってもドラフトを見せにこないことを不審に思ったのか、五十嵐先生が再度私に声をかける。