シュガーレスでお願いします!
全てが終わり、家に帰れたのは夜の7時過ぎのことだった。
玄関を開けてまずリビングの電気が消えていることにホッとする。
(良かった……)
慶太が帰ってくる前になんとか間に合った。
今日に限っては例のケーキを受け取る前に帰ってこられては困るのだ。
そうだ、ケーキを受け取ったら一緒にコーヒーを淹れよう。
こういう時のために、棚の上にとってきおきのコーヒー豆を隠してあるんだ。
ルンタッタと軽くスキップしながら廊下を歩いていく。
……そう、私はすっかり油断していた。
バッグを床に置き、ジャケットを脱ぎ、いつものようにリビングの灯りをつけると、急に大きな人影が現れてぎょっとその場にのけぞる。
「け、慶太……!?」
慶太はソファに座ったままこちらを見ようともしなかった。
灯りもつけずに何をしているのか。私を脅かそうとでも思ったのか。