シュガーレスでお願いします!
「な、なんでっ!!」
「帰ってきたとき、ちょうど配達員の人が不在票をポストに入れるところに出くわしたから代わりに受け取っておいたんだ」
慶太が怒りを押し殺しているのが、空気で伝わってくる。
結婚前も結婚後も、慶太がこんなに怒りを露わにすることなんてなかった。
「これ、なに?」
「ケーキだ……よ?」
慶太が怒っていることに動揺した私は間抜けなことに見たままを答えた。今どき幼稚園児だって、もう少しましな言い訳をするだろう。
「なんで、通販でケーキなんて買ったのか聞いてるんだけど?」
「これは……そう!!プレゼント用だ!!」
「へー?本職の俺に相談もなく選ぶなんて、いい度胸してるね?」
稚拙な言い訳は直ぐに看破され、更なる誤解を招くだけだった。
これ以上言い訳を重ねてもドツボにはまるだけだと観念して、正直に白状する。
「ごめん、本当は自分用に買ったんだ」
「俺の作ったケーキだって食べないのに、他の人間が作ったケーキを食べようっていうんだ?」
「ごめん……」
黙って注文したことを反省し謝ると、慶太は呆れたように大きなため息をついた。
だって、慶太がこんなに怒るなんて思わなかったんだ。
どうやら、私は慶太のパティシエとしてのプライドを大いに傷つけてしまったらしい。