シュガーレスでお願いします!
「比呂の方こそ、俺に対して結構酷いことしてるじゃないか……」
慶太は何か堪えるように、グッと拳を握り締めた。
「口を開けば、節度節度って……最近はそればかりだ……」
「そ、それは……!!」
慶太が全然態度を改めてくれないから私だって仕方なく……。
「前から思ってたんだけど、比呂は本当に俺のことが好きなの?」
「どういう意味……?」
「適齢期にたまたまプロポーズしてきた男が俺ってだけで、本当は……相手は誰でも良かったんじゃないの?」
「なっ……!!」
思いも寄らぬ暴言に絶句する。慶太がそんな風に思っていたなんて全然知らなかった。
こっちは良くも悪くも慶太のことで頭がいっぱいで、折り合いがつけられなくて苦しんでいるというのに。
どの口が“誰でも良かった”なんて言うんだ!!
「わかった……。慶太がそう思っているなら、ここから出て行く」
売り言葉に買い言葉だということは分かっていた。
これは典型的な痴話喧嘩で、決して感情的になってはいけない。
そう思っていても、やはり自分の心を制御することは難しい。
私はクローゼットの中からブラウスとスーツ一式の最低限の荷物を抱えると、家から飛び出した。
(慶太の大馬鹿野郎っ!!)