シュガーレスでお願いします!

(私は慶太に甘え過ぎていたのかもしれない……)

どんなに疲れていても、今日ばかりは目が冴えて眠れそうになくて、布団の中で何度も寝がえりを打つ。

確かに20代後半に差し掛かってから、両親から早く結婚するように急かされて辟易していたのは事実だ。

しかし、いくら困っていようが、誰とでも結婚するようなバカな真似はしないのに。

(あんな風に思っていたなんて知らなかった……)

慶太が私を見つめる瞳は初めて会った時から変わらない。

一方で、私は慶太のことを知れば知るほど、奴を見る目が変わっていく。

(最初は不審者としか思えなかったのに……)

私は約9か月前――慶太と初めて出会った日のことを思い返していた。

あれは、吐く息がすべて凍ってしまうほどの寒い1月のことだった。


< 72 / 215 >

この作品をシェア

pagetop