シュガーレスでお願いします!

「ほら、どれにするの?」

「えーっとね……。これも美味しそうだし……。こっちもいい!!」

女の子は満面の笑みでケーキを指さしている。

見ているこちらも笑顔になれるほほえましい光景である。

「あのね、白いのも食べたいし!!チョコも好き!!」

私もこの体質になる前は、ケーキ屋さんでケーキを見ては胸を躍らせたものだった。

「まだ決まらないの?」

「もうちょっとー!!」

先約でもあるのだろうか。

母親は右手に嵌めた腕時計でしきりに時間を気にしながら、女の子に早く決めるように促す。

しかし、いつまで経っても決めようとしない我が子に焦れて、ついには声を荒らげてしまう。

「どれでもいいから早く選んじゃいなさい!!」

……どれでもいいとは聞き捨てならない。

「お母さん、あなたには同じようなケーキに見えても、お子さんにとってはたったひとつのケーキを選ぶ大切な時間なんです。そんな言い方はしないであげてください。それに従業員の方にも失礼ですよ」

言ってしまった後で我に返ると、母親だけでなく従業員の男性までもが呆然と私の顔を見つめていた。

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