シュガーレスでお願いします!
(しまった……。言い過ぎたかも……)
行き過ぎた正義感は時に身を滅ぼすこともある。それは、弁護士である自分もよく知っているはずなのに。
「すみません……」
すぐさま頭を下げて謝罪すると、母親の方も恐縮しきって礼を返した。
「あ、いえ……。こちらこそ、失礼なことを……」
女の子の母親が良い人で良かった。
普通、見ず知らずの他人にあんな風に諭されたら、怒る人もいるだろう。
私は、バースデーケーキを受け取ると気まずさを誤魔化すようにそそくさと店を後にした。
(また、余計なことを……)
仕事柄、納得できないことがあるとすぐに反論して相手をやり込めてしまうのは私の悪い癖だ。
これだから、少しは依頼人の立場や感情を考えて言葉を選ぶべきだと香子先生に叱られてしまうのだ。
本当に……可愛げのない女。
ビュービューと容赦なく吹いてくる風が心の隙間に忍びよってくるような気がして、コートの袷を掻き抱く。