シュガーレスでお願いします!

「待ってください!!」

雪が降らないうちにケーキを届けてしまおうと足早に駅へと向かっていた私を誰かが呼び止める。

背後を振り返ると先ほどの男性店員がハアハアと息を弾ませ、コックコート姿のまま私を追いかけてきていた。

ケーキなら確かに受け取ったはず。代金も払ったし、おつりだってもらった。

心当たりがあるとすれば、先ほどの自分の発言ぐらい。

え、もしかして。わざわざ文句でも言いに来たのだろうか。

よそ様の事情に勝手に口を出す面倒な客に、二度とこないように忠告でもしにきたのだろうか。

ケーキの箱を抱えながら戦々恐々としていると、店員が口を開く。

「あの……名前は?」

「え?」

名前?そんなもの聞いてどうするんだ?

もしや、本当に出禁にするつもりなのか!?

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