シュガーレスでお願いします!
「ということで、比呂先生。この店の今後のためにも旦那のケアをよろしくお願いします」
「よろしくって……」
他力本願によろしくと言われて、困ってしまう。
慶太のケア?なんて一度もしたことがない。
あれか?肩でも揉めばいいのか?
父親に奉仕する小学生のような発想力しか持たない私に大輔さんが、意味ありげな笑みをこぼす。
「簡単、簡単。比呂先生がニコッと笑って、“慶太、愛してる”って言えばあいつの機嫌なんてコロッと直るよ」
大輔さんは、はいどうぞと言って私にケーキを詰めた白箱を渡してきた。
(あ、愛してる……!?)
私の頭の中の辞書には決してない単語を聞かされて、驚きで目をパチクリさせる。
動揺のあまり何も考えずに差し出された箱を受け取り、ハッと我に返る。
「あ、代金……」
「いいよ。いつも贔屓にしてもらってる奥寺法律事務所の皆さんに俺から差し入れってことで」
「すみません……」
私はケーキをありがたく頂戴すると、お昼休みが終わらないうちに事務所に戻るのであった。
図らずもいつかの香子先生の思惑通り、おまけをもらうことに成功してしまった。