シュガーレスでお願いします!
「まあまあ、いいじゃない。比呂先生だって飲みたい日があるんだよ」
上野先生は、遠藤さんが変えたグラスを更に淡いピンク色のスパークリングワインが入ったワイングラスへと交換した。
シュワシュワと弾ける泡と一緒に水面には情けない自分の顔が映っている。
ああ、だから上野先生は飲みに行こうって誘ってくれたんだ……。
今にも泣きだしそうなひどい顔を見ていたくなくて、さらにグラスを空にする。
しかし、飲んでも飲んでも、この胸をつく焦燥感は酷くなるばかりだ。
(……どうしよう)
今……ものすごく、慶太に抱き締めて欲しい。
いつもみたいに、『比呂』って名前を呼んで頭を撫でて欲しい。あの蕩けそうな瞳で優しく見つめられたい。
……節度を持てなんて言わなきゃよかったかも。
胸焼けするような甘ったるい抱擁が今は恋しくて仕方ない。
これは、お酒に酔った気の迷いなのか。それとも、偽らざる本心なのか。
お酒が進むにつれて頭がフワフワして、徐々に正常な判断力が失われていく。
「わあ――!!比呂先生!!」
上野先生が叫ぶのが早いか、限界を迎えた私は電池が切れたようにテーブルに突っ伏してその場から動けなくなってしまったのだった。