君への愛は嘘で紡ぐ
Sixth Lie
喫茶店でアルバイトをして、一週間が過ぎた。


今日は、久々に社交パーティーに参加させられる。
私に拒否権などなかった。


用意されていた青いドレスを着て、ヘアメイクもしっかりされる。


会場に向かう車の中で、お父様と会話はしなかった。
というより、あの日以来まともに話していなかった。


無言の時間に耐えられなくなってきたとき、車が停まった。


開いてほしくないドアが開けられる。
手を差し出されると、降りないわけにはいかない。


むしろ、ここでそんな抵抗は無駄だ。


重い腰を上げる。


「行ってらっしゃいませ」


運転手に送り出される。


気持ちを切り替え、お父様の後ろを数歩離れて歩く。


こういう場が苦手でも、体に染み付いた癖というものは抜けないらしい。
背筋を伸ばし、両手を前で重ね、静かに歩く。


「お久しぶりですね、小野寺さん」


会場に着くと、早速お父様に声をかけてくる人がいた。
私は黙って立ち止まる。


「これは田代さん。お久しぶりです」


まだ私にはわからない会話が始まる。


「それにしても、お嬢さんは相変わらずお美しい」


そう思ったのに、田代さんは私のほうを見ていた。


「ありがとう、ございます」
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