君への愛は嘘で紡ぐ
「んー……どうだろう。早い段階で二十歳まで生きられないってわかって、ずっと後悔しないように、やりたいことはすぐに行動に移してきたから、特に未練はない」


ああ、やっぱり。
この人は、死のうとしている。


「……て、言えたら最高だけどな」
「え……?」


予想外の言葉に、間抜けな声が出てしまった。


「後悔のない人生にするって難しいだろ。どうしても、あのときああしていればって思う」


笠木さんはまた、私が泣きたくなるような、胸を締め付けられる笑顔を浮かべた。


「俺は……病気じゃなかったら、小野寺円香がお嬢様じゃなかったら……自分のポリシーを曲げずに済んだのにって思ってるよ」


笠木さんの言っている意味がわからず、首を傾げる。
だけど、笠木さんはそれ以上話してくれない。


「やりたいことを我慢するのは、好きではないというのが笠木さんでしたよね……?」


笠木さんは目を丸くしている。


「お嬢様……察しが悪いな?ここに来て椿さんと汐里さんと話したんだろ?」
「……笠木さんの態度のせいですよ」


私は頬を膨らませ、そっぽを向く。


そうなのかもしれないと思っても、笠木さんに冷たくされて、やはり違うのだと、ずっと混乱している。
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