君への愛は嘘で紡ぐ
そのとき、笠木さんと汐里先生と参加したフリーマーケットのことを思い出した。
汐里先生は、笠木さんが地域の人との関わりを大切にしていると言っていたが、それはきっと、今言ったことが理由なのだろう。
「自分のやりたいことを好きなようにやるのは楽しかった。でも、ふと思うことがあったんだ」
後ろから見ていても、笠木さんがさらに俯いたことがわかる。
「どうせ死ぬのに、なにやってるんだろうって」
その言葉に胸を締め付けられる。
何を言っていいのかわからなくて、黙って話を聞くことしか出来なかった。
「でも、誰かのために行動していたら、少しは楽になった。俺を忘れてほしくなくて、求められることを全部やった」
それが妙に引っかかった。
「矛盾、していませんか……?私には忘れてほしいと……」
「お嬢様はもう俺のことは忘れてるって思ってないと、お嬢様のことで頭がいっぱいになるから」
「え……」
私は思わず立ち止まってしまった。
汐里先生に聞いた話と違う。
だが、その理由のほうが、なんとなく嬉しかった。
「お嬢様が好きだって気付いてから、やりたいって思うことは大体お嬢様絡みだし……だから、忘れられてるから、考えるだけ無駄だって思い込むようにしてた」
汐里先生は、笠木さんが地域の人との関わりを大切にしていると言っていたが、それはきっと、今言ったことが理由なのだろう。
「自分のやりたいことを好きなようにやるのは楽しかった。でも、ふと思うことがあったんだ」
後ろから見ていても、笠木さんがさらに俯いたことがわかる。
「どうせ死ぬのに、なにやってるんだろうって」
その言葉に胸を締め付けられる。
何を言っていいのかわからなくて、黙って話を聞くことしか出来なかった。
「でも、誰かのために行動していたら、少しは楽になった。俺を忘れてほしくなくて、求められることを全部やった」
それが妙に引っかかった。
「矛盾、していませんか……?私には忘れてほしいと……」
「お嬢様はもう俺のことは忘れてるって思ってないと、お嬢様のことで頭がいっぱいになるから」
「え……」
私は思わず立ち止まってしまった。
汐里先生に聞いた話と違う。
だが、その理由のほうが、なんとなく嬉しかった。
「お嬢様が好きだって気付いてから、やりたいって思うことは大体お嬢様絡みだし……だから、忘れられてるから、考えるだけ無駄だって思い込むようにしてた」