君への愛は嘘で紡ぐ
私が戸惑っている間に、細かく丁寧に教えてくれた。
笠木さんは照れ笑いを見せる。


どう答えていいのかわからなくて、ゆっくりと車椅子を押した。


「……笠木さん」


ふと、笠木さんに一方的に気持ちを聞いただけで、私は何も話していないことに気付いた。


私だって、本音を言いたい。
笠木さんに気持ちを伝えたい。


だが、それができない立場であることをすぐに思い出した。


「お嬢様?」


笠木さんは不思議そうな顔をしている。


気持ちを伝えることはできないが、あのときの言葉が嘘だったということは話してもいいのではないだろうか。


「えっと……あの日……笠木さんを利用していたと言ったのは」
「嘘だろ?わかってるよ」


私が勇気を出して告白しようとしたのに、笠木さんは続きをさらりと言った。


「どうして……」
「お嬢様は全部顔に出るんだよ。バイトしたときも、俺に嘘をついたときも、パーティーのときも」


自分がそれほど子供のようなことをしていたのかと思うと、恥ずかしい。


「……パーティー?」


笠木さんはしまったというように口を塞いだ。


「どういうことですか、笠木さん」
「どうって……俺がお嬢様の参加したパーティーのバイトをしてたってだけ」
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