君への愛は嘘で紡ぐ
「了解」


笠木さんは短く返事をすると、今度はドアから出て行こうとしたところを、先生が呼び止める。


「ねえ、玲生くん。小野寺さんにも参加してもらったら?お嬢様ならいらないもの、いっぱいあるんじゃない?」


先生と笠木さんの顔を交互に見る。
笠木さんは不服そうな顔をしている。


「それに、せっかく出会ったのにそんなに喧嘩ばかりするのもよくないと思うの」


先生はご飯を口に運びながら言った。
笠木さんは面倒そうにため息をつき、頭をかいた。


「お嬢様、緑公園って知ってるか?」
「ええ……」


よくわかっていないまま、返事をする。


「今度の日曜日、そこでフリーマーケットがあるんだ。俺たちは、そこでいらなくなったものを売る。……来るか?」


フリーマーケットという言葉を、初めて聞いた。
いらなくなってしまったものは、捨ててしまうか部屋の隅に放置するかのどちらかだったが、それを売るという行為は面白そうだと思った。


「行ってみたいです」
「じゃあ決まりだね。小野寺さんもいらないものがあったら、持ってきてもいいからね」


先生はそう言いながら、お弁当箱を片付けた。
笠木さんはぎりぎり聞こえるような音量で舌打ちをし、出て行った。


私は内心浮かれながら、お昼を終えた。
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