揺れる被写体〜もっと強く愛して〜
「抱きしめてもらってもいいですか…?」
緊張で震える体。
振り絞った勇気。
あ……ダメだ。
やっぱり言わなきゃ良かったかも。
レイさんの顔、見れない…!
怖くて目を閉じた。
そしたらフワッと柔らかいものに包まれて、レイさんの髪が頬に触れてる。
あ………抱きしめられてる。
レイさんの匂いに脳までヤラれそう……
ギュッとされたら更に涙が………
「内に溜めてるもの……吐き出してくれたら嬉しい、かな」
色っぽい声が鼓膜を刺激する。
どうにかなっちゃいそう……ヤバい。
私……絶対おかしい………
「じゃあ………この前言ってくれたこと……実行してもらっていいですか?」
少し体が離れて目が合って………
「キスの仕方……教えてください」
もう、完全に引かれてる……
「え?」てな顔。
気持ち悪いですよね、こんなこと言われたら。
だっていつもイケメンばかりとキスされてるし。
男にしか興味ないのが普通ですよね。
「えっと……いいの?私で」
「え…?」
「楓ちゃんのファーストキス奪っても?後悔しない?」
「え、ちょっと待ってください、何しれっと受け入れちゃってるんですか」
「え〜、だって楓ちゃんのお願いだし?ものすごーく勇気いったと思うし?」
あ………こういうのもサラッと言えちゃう人だったんだ。
びっくりするくらい……人間デキてる。