揺れる被写体〜もっと強く愛して〜
「気味悪くないんですか?私、女ですよ?それに……これからだって長く一緒に仕事する仲なのに」
「気まずい…?私はむしろ吐き出してくれて嬉しいよ、ずっと溜めてたんでしょ?」
そんな優しい瞳で見ないで……
いつから気付いてたんですか……
穴があったら入りたい………
「でも私、ファーストキスじゃありません…」
「なんだ、そうなのか…」
「何でそこでガッカリ感出すんですか!?」
アハハハ…!と笑い合う。
胸のつっかえが取れたこと、
変わらず接してくれる有り難さ、
嬉しくてたまらない。
レイさんの手が私の手首を掴む。
少しだけ見上げる目線の位置。
この瞳……カメラを持つ前の瞳だ。
スイッチが入る瞬間の瞳。
綺麗過ぎて……動けない。
「私はいいよ……」
「え……」
「楓ちゃんが準備出来たら言って?」
心臓の音がうるさい………
こんなことって………
ずっとずっと憧れてきたレイさんが目の前で私の準備待ち……!?
そ、そんなの有るわけない…!!
あっ、私、お茶も出さないで…っ!
「お茶入れますねっ…!」
掴んだ手首を離してくれない。
むしろ引き寄せられた。
顔が近い……爆死する。
「そんなのいいから」
「は……はい」
クスッと笑われる。
「緊張しちゃった?楓ちゃんから誘ってきたのに」
「いや……その、何ていうか…」
アップに耐えられない。
なんて人にキスを求めたんだ…!
綺麗過ぎて、毛穴とかないし!
眼力半端なくて、どうにかこうにかメイクで誤魔化してる私は逆に萎える………