揺れる被写体〜もっと強く愛して〜



「わ……ごめんね?見つからないように気張ってたんだよね?辛かったね、ごめんよ…」




「うぅ……うわーん…!」




堪らず声を出して泣いた。
張りつめてた糸がプツッと切れて
溢れ出した涙はなかなか止まらなくてレイさんを困らせてしまった。




「あんまりですぅ…!心臓止まるかと思った…ふぇ〜ん…!」




「楓ちゃんが入っていくの見えたからさ……ちょうど駿くんが来て襲われちゃって……中に居るの分かってたけど、私も見られた方が興奮するかなとか思っちゃって…」




「完全に放送禁止用語です…!」




「いや〜いつもより大胆に…」とか言ってるし!
今すぐレイさんから性欲を取り上げてしまいたい。
そうなったら……死んじゃうかな。




「最近よく相模原さんと居ますよね?」




「ん?なに?妬いてる?」




「いや、そうじゃなくて…!レイさんが珍しいな…と思って」




写真集撮影が最後だったと思うけど、もうそれからだいぶ経ってるんだよね。
仕事が一緒にならない限りはその場限りの関係で大概終わってたから。




「うん……駿くんとは相性良いんだよね」




「は……!?」




「身体の…?」




「聞いた私がバカでした……」




やっぱり取り上げてしまいたい。
楓ちゃーん、と甘えて来ないで。
まだ心臓暴れてる……
レイさんのあの声が脳裏に焼きついて離れない……




いつまで経っても解放されない………






< 111 / 158 >

この作品をシェア

pagetop