揺れる被写体〜もっと強く愛して〜
「やっぱ楓ちゃんの良い顔引き出すにはコレなのかな?」
分かりやすいほどしょんぼりしてしまってた私にレイさんが言う。
「え?」と顔を上げたらもう目の前に顔があって………
そのまま唇が重なってる………
ウソ………
更に固まる体。
柔らかい唇が口内を犯す。
どうしよう………
こんなの……気持ち良すぎて………
まだ欲しいのに離れる。
「ほら、その顔…最高だよ?」って
もう一度2shot写真を撮ってくれた。
頭のてっぺんまで熱い〜!
真っ赤な私に「可愛い」とまで。
「楓ちゃん、私とデートしよ?」
「え……」
そう言うとニッコリ笑って
私を外へ連れ出してくれました。
「え、カメラも持って行くんですか?」
一緒に車に乗っけてたので聞いてみた。
そしたらハイと渡されて。
「撮っていいよ」ってウィンクされた。
ヤバ、可愛い。
って、そうじゃなくて…!
「撮るって…!?」
「デート中、好きなだけ撮りなよ。風景でも、動物でも何でも。好きなアングルで何枚でも」
「え、だってこれ…レイさんのカメラ…」
「使って?ていうかあげる」
「こ、こんな高価なもの頂けませんっ…!」
「それで撮る楓ちゃん見たいの」
「でも……」
「使い方は教えたでしょ?スタジオでも相当勉強してるしそろそろデビューしなきゃね」
ゆっくり走る車内で涼しげな横顔がとんでもないことを言ってる。
私が……デビューなんて………
それじゃあ……もうレイさんとは……
いや、デビューしたとしてもそんな上手い具合に仕事があるわけでもないだろうし。