揺れる被写体〜もっと強く愛して〜
「さっきのキス思い出してみて」と挑発してる。
遊んでそうに見えたけど顔真っ赤になって「してないじゃん…」ってやっぱり動揺してるんだね。
クスクス笑いながら心の距離まで縮めていくテクは秀逸。
上手く乗せて必要なショットは確保する。
あっという間に予定時刻に撮影終了。
遅れてた分まで挽回するとはまさに神業。
しつこく連絡先を聞いてくる被写体に「本当興味ないのよ」とドライな対応であしらっている。
「また今度ね」って次は絶対ない断り方ですね。
あまりにもしつこい場合は私たちアシスタントが大人数で楽屋までお連れする。
現場に居ない関係者に1分でも早く引き渡すのだ。
何が笑顔の貴公子よ。
ただの軽い男じゃん。
確かに試合中は格好良かったけどさ。
世間のイメージとは全くの真逆。
「引き払ってきました〜」
レイさんの楽屋へ戻る。
「お疲れさま」の笑顔でどんな疲れも吹き飛ぶのよね。
パソコンでメールチェックしてる姿も一応撮っちゃお。
「ところで、レイさんって恋人は作らないんですか?」
「え、面倒くさーい」
「そうですか…」
「束縛する私って想像出来る?」
「うわ、想像出来ないです…」
「ちょ、今の女ダレ?とかさ、逆に俺と仕事どっちが大事なんだよ!とか言われたりするの面倒じゃない?だったらフラットな関係でいいよね〜って」
「フラット…?軽い関係ってことですよね」
「そう、したい時にする関係」
「もう…!何言ってんですか…!」
私に向かって言われるとドキドキし過ぎて心臓持たん……
一体どんな恋愛してきたんだか。