揺れる被写体〜もっと強く愛して〜




激しく奪うのに……触れたら優しい。
このキスだけでとろけてしまいそう……
体に力入んないよ……
優しく……丁寧に犯されていく……




「すっごい欲しそうな顔してる……可愛いよ、楓ちゃん」




耳をそっと甘噛みされる。
ダメ……反応しちゃうから……




「動かないでってば…」




「無理ですぅ……」




「私もここ、凄く感じるよ…」




「レイさんっ…!本当、これ以上は…っ!」




乗りかかる体を押して起き上がる。
「ごめん、やり過ぎた」と謝られたのは、私が今にも泣きそうだったから。
違う……嫌で泣いてるんじゃない。




「好きだから……レイさんが大好きだから本当は嬉しいです。でも…!今はちゃんと写真集を完成させたい…レイさんに認めてもらいたいです」




こんな時の頭ポンポンは更に罪……
決心がグラついちゃう……
そんなのダメだ。





「楓ちゃんは私より良いカメラマンになれるよ」




首を思いきり振る。
逆立ちしたって勝ち目ないですよ。
でもレイさんが褒めてくれるたびに小さな自信に繋がってた。
せっかく与えられたチャンスだから何が何でも形にしたいです。




「だから、私に対しての性欲は排除してください…夢掴むまでは」




「えっ…………うそーん……」




何でそこで本気で落ち込むんですか…!
「楓ちゃんにフラれた…」ってフッてませんから…!
「もうキスしてもらえない〜」って泣きまねするなー!




「と、とにかく…!私は被写体としてのレイさんを撮り続けますから…!では…!」




カメラを手にそそくさと出て行く。
これで良い。
これで良いんだ。
今、レイさんの欲の渦に巻き込まれたら自分を見失う。




こんなんで負けてたら自分の思うようにはいかない。
それじゃレイさんを超えられない気がして………




もっと自立した強い自分にならなきゃ………







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