揺れる被写体〜もっと強く愛して〜




連日の取材ラッシュで目まぐるしい日々を送ってる。
分刻みのスケジュールをこなしていくだけで大変だ。




この忙しさが有り難いのか、
あれから駿くんには会ってない。
ほとんど現場に居るし楽屋には戻らず次の取材を受けてたりするから。
勿論、連日リハーサルの優吾とも。




誰一人会わずにこうも仕事に没頭していると不憫に思われたか、
「レイさん、大丈夫ですか?潤い足りてますか?」って楓ちゃんが心配そうに見つめてくる。




「大丈夫だよ、それより招待状送ってくれた?」




「はい…!手配しました」




「ありがとう」




「いよいよですね?」




「うん、そうだね」




初の写真展。
会場はほぼ仕上がってきている。
一体どんな写真がどのように並ぶかは私しか知らない。
かなり、攻めた感じ…とでも言おうか。




私自身も、頭で描いてるイメージと実際並んだイメージはまた違うと思うから出来上がりが楽しみだ。




「レイさん……相模原さん来てますけど」




どうしますか?って顔の楓ちゃん。
さすが察しが良い。
楽屋には戻れない…か。




「楓ちゃん、ごめん。写真展当日までは取材以外、誰も通さないで」




「分かりました」




私自身の賭け…でもある。
吉と出るか、凶と出るかは当日まで分かんないけど今は全てを断ち切ってふるいにかけてみようかなって。
ったく、どの目線で言うんだか。




メッセージも毎日きてるけど返信せずに未読スルーを貫いてる。
たまにテレビで流れる駿くんのCMを見ながらふと思い出すのに……
あの瞳や体温が蘇って胸を締め付けるのに……





お願い………耐えて…………







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