揺れる被写体〜もっと強く愛して〜



「レイはもう、誰かのものですか?」




「え…?」




「結婚とか…しますか?」




「どうしたの?ジヒョン」




「あんなサヨナラ……あんまりです。諦めるべきですか?もういっそのこと、誰かのものなら今日この場所から新しく歩き出せるのに…」





「うん……ごめんね?まだ誰かのものじゃないけど、大事にしたい人は居る」




「それはつまり、好きな人?」




「……大好きな人」




「やっぱり失恋ですね……」




「ごめんね〜?」




プゥとふくらむ頬。
怒りながらも首を振る。




「でもあの時レイが来てくれなきゃ僕は這い上がれなかった……だから感謝です」




改めて見上げる整った顔。
大丈夫、私が居なくてもキミは這い上がれてたよ。
その時寄り添っただけ。
温もりを与えただけ。
でもそれを糧にしてくれたのなら嬉しいよ。




「レイのその笑顔、好きです」




「ありがとう」




「もし、この先レイが苦しい時……悲しい時、誰も居なければ僕を選んでください。僕はまだ…レイ以上の人に出逢えてないです」




こういう母性をくすぐるところはズルいよね。
今日はヒールがあるから背伸びしなくても頭を撫でられる。
こんなイケメンに言ってもらえるなんて幸せ者だね、私は。




「出逢えるよ?こんな心優しいジヒョンなら。それは私じゃないから見届けられないけどきっと幸せになれるよう祈ってる……あ、マネージャーさんにも宜しくね?」




「はい…!」




最後に最高の笑顔を見せてくれたジヒョンに微笑みながらバイバイ。
またいつか、お仕事出来るといいね。








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