揺れる被写体〜もっと強く愛して〜




「Reiさん、こっちに目線お願いします」




まだ撮り終えてない取材記者が手を挙げカメラを構える。
展示写真をバックに笑顔を作る。
その視線の向こう。




あ……………




ほんの一瞬でも見逃さない。
あんなダダ漏れのオーラ……
そんなのキミしかいない。




「ちょっとすみません、通してください」




撮影を強制終了し、人混みを掻き分けて行く。
頭ひとつ分出てる後ろ姿を追いかける。




ねぇ、キャップ帽にサングラスって……
それで変装のつもり……?
皆、振り返って見てるよ?




ゆっくり見て歩くキミは
一枚の写真の前で立ち止まった。




真っすぐ見上げながら……
何を思ってる……?




そっと隣に立った。




「ありがとう、来てくれて」




そう言う私の方を見たキミはその場で帽子とサングラスを取った。
周りがざわつき始めて
「あれ、相模原駿だよね?」ってバレちゃってるよ?




そんな空気にキミも気付いてソワソワしてる。
優しい瞳にまた惑わされそう。
お願いだから……そんな瞳で見ないで。




あんなふうに突き放したこと、怒ってないの…?
自分勝手だと言い返してくれていいんだよ…?
他の人に目移りしたっておかしくないんだから……
もっとちゃんとキミを支えてくれる人と手を取り合ったっていいんだよ…?




私がどうこう言える立場じゃない。
キミをこのまま繋ぎ止めておく理由もない。




ねぇ、ここからどう羽ばたく……?
その手伝いがしたいの……







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