揺れる被写体〜もっと強く愛して〜
「もう一度聞くけど本当に良いの〜?今日、週刊誌だって来てるんだよ?」
「関係ないよ、むしろ好都合」
「本当聞き分けないよね……真っすぐ過ぎてこっちが焦る」
「俺だって焦ってる……誰にも美麗を取られたくないって」
「独り占め…したい?」
「したい…!あ…っ、」と声が響いて思わず口を押さえる駿くんが可愛く思えて微笑む。
「じゃあ、逆に見せつけちゃう?」
ずっと記者に見られてることは把握してる。
私なりの覚悟も教えてあげないと。
シャツの胸ぐらをつまみ引き寄せ、堂々とキスをした。
周りが反応してるのも肌で感じてる。
ほんの一瞬のキス。
関係者も見てる中で駿くんの手が私の腰に回るのを確認したら……
やっぱり欲しがるその瞳に応えてしまうの。
ゆっくり顔が近付いてきて………
皆の目を遮るように盾になってキスしてきてくれた駿くん。
さっきより少し長いキス。
唇が離れたらお互い照れ笑い。
「俺、事務所に話したから」
「え?」
「美麗と結婚するって」
「はぁ!?」
「え、ダメなの?」
「いやいや、何もここでじゃなくても…」
思わず小声になる。
結婚というワードに周りが反応しちゃってるから。
「ちゃんと俺の意思を尊重してくれるって。認めてくれたから」
「マジか……」
明日にでもこちらから伺う予定にしてたのに。
まずは事務所への挨拶だろうって。
駿くんと今日結ばれたらそうしようって思ってた。
まさか先にやられてるとは……