揺れる被写体〜もっと強く愛して〜
翌日もその次の日も。
本当にキスだけの関係。
この俺が……忠実に守ってるとか有り得ねぇ。
ライブツアーが始まって17公演あるうちの3日間、東京公演のみライブ写真撮影がある。
それ以外は勿論、レイは同行しない。
始めから分かってたことだけど、触れ合えない日々をどう過ごすのか俺の中で課題となっていた。
他の誰かで紛らわす気にもなれない。
早く、レイを抱きたい………
そんなことを考えながら今日も歌ってる。
カメラを構えるお前に向けて魂を叫ぶ。
ひとつも残さず撮れよ。
俺の、お前に対する気持ち……
たっぷり歌に込めてるから。
東京での最終日。
楽屋とは離れた部屋に俺はレイを連れ込んだ。
ライブ終わり、まだ興奮が冷めやらぬ間にキスしたかったから。
テーブルに座らせ激しく唇を奪う。
電気も点けないままリップ音だけがする。
そのまま寝かせてキスを降らせれば……ひとつになれる気がした。
汗だくのTシャツを脱ぎ、再び重ね合う。
自然と足の間に入ってて……もう限界。
首に唇を這わす。
止める手は指を絡めてテーブルに伏せる。
「優吾……」
耳に残る俺を呼ぶ声………
俺がそう呼べと言った。
言っとくけど呼び捨てさせたの、お前が初めてだからな。
同い年だし……俺から惚れたし。
「レイが欲しい……いいだろ?」
「あぁ……ごめん、生理だから」
一瞬動きが止まる。
クソっ……そうきたか。
「関係ねぇよ」って言ったら
「そっちの方が好都合とか思っちゃう人とする気にはならない。今後一切ね?」と冷たく言い放つ。
体を起こされ
「お疲れさまでした」と部屋を去って行った。
クソっ……!
こんなハズじゃなかったのに。
俺……何かダセェ……
正直……好都合とか思っちゃった。
結局……嫌われた……!?