揺れる被写体〜もっと強く愛して〜
そんなの悔しいから。
お前だってそうだったんだろ?
それを今日聞きに来た。
ちゃんとお前の口から聞きてぇんだ。
俺を忘れた日は……一度でもあったか……?
舞台の上から俺は証明してみせるよ。
お前の居ない未来はないんだってこと。
しっかり撮れよな?
びっくりしてシャッター押し忘れんなよ?
ていうか、びっくりした顔見てみたいかも。
どうか、動揺しまくりますように…!
ラストステージにてサプライズゲストによるランウェイ。
音楽がガラッと変わり、照明も色を変えてきた。
会場の緊張感が波に乗って伝わってくる。
オシャレスーツに身を包んだ俺が登場した途端、会場が揺れた。
サングラスをかけていてもバレバレみたいだな。
まさかGLEAMSの俺がトリを務めるなんてサプライズ過ぎるってか?
ペーパーシャワーや風船などがたくさん飛び交うランウェイ。
一歩ずつ進んで行く。
やっと見えたレイのカメラ。
レンズ越しで見てるのかよ。
驚いてる…?
こんな形の再会も悪くねぇだろ?
ちゃんと両端にも手を振る。
先端ギリギリで立った時。
サングラスを取り
真っすぐ見据えるカメラ目線。
ポケットに入れていた手を出し、
その場にしゃがんだ。
それだけで歓声が飛び交う。
ようやくカメラから顔を上げたレイと目が合った。
フフン、驚いてるなコレは。
舞台上からレイだけに向かってウィンクする。
すぐさま立ち上がりランウェイを引き返した。
大成功を収めたガールズコレクションは明日のニュースを賑わせるだろう。