揺れる被写体〜もっと強く愛して〜



撮影が始まる。
フラッと現れてカメラ覗いてるけど、ショートパンツに着替えてて生足だしシャツは腰巻きだし、トップスは緩めのタンクトップで目のやり場に困る。
綺麗なデコルテが一瞬見えただけで脳裏に焼きつくくらい。




そういや撮影始まってから思ってたけど、一度も三脚とか使わない人なんだな。
自分で全部角度決めてストロボとかも細かく指示してる。




ネクタイ緩める瞬間もふとした笑顔も彼女のシャッタースピードは怯まない。
主導権は時々変わる。
いつの間にか撮られてるのにまるで本当にレイさんと過ごしているかのようだ。




「あ、今の視線良い」




シャッターを押しながら繋げてるパソコンで確認し、また撮り続ける。




もし、レイさんが彼女だったら…って思いながら撮影するのは不謹慎かな。
恋人として撮られてる…のも悪くない、かも。




シャワールームでの撮影。
実際、上半身だけ脱いで撮るんだけど。
背中から撮ったり髪をかきあげたりこれでもかってくらい肉体美を見せたつもり。
表情ひとつ変えない彼女に物足りなさを感じる俺は一体何を期待してんだか。




スエットパンツだけ履いてバスタオルで髪を拭く仕草。
ドライヤーで乾かす。
一緒に歯磨きするシーン。
ソファーでイチャつくような雰囲気。




「甘えてきて」




そうオーダーしてくるならやるけど、周りにスタッフが居ても大胆にしていいのかな。
カメラを小さいのに変えたってことはより近付いてもOKなの?




「普段どんなふうに甘えるの?」なんて挑発してくんなよ。
「ゆっくりきて…」とソファーの端で構える。
言われた通りゆっくり近付いて……






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