揺れる被写体〜もっと強く愛して〜




彼女の後ろ側では誰もが僕に視線を注いでいただろう。
そんな空気に気付かないまま撮影は続行している。




あなたが今振り向けば、感動の再会シーンが生まれるのかな?
それとも普通にスルーされちゃう?




「よし、メグミちゃん呼ぼうか」とアシスタントの人に声をかけた。




「えっと、次の衣装って…」




「あ………」




振り向いた…!
今、目が合ってる…!
これだ、この視線……
僕をカエルにした視線だ…!




「メグミ入りまーす!」と若いモデルがスタジオ入りする。
何か……軽そうな子。
僕を捉えていた視線はメグミというモデルに奪われ、ヘアメイクに「ツインテールにしてください」と注文。




何が始まるんだ……!?




今度はスタイリストと衣装協力しているメーカーを呼んで何やら話し合い。
すぐさま取り掛かる人たち。
衣装をマネキンに着せてハサミを手に取るレイ。




「宜しくお願いします」とメーカーもそう言ってる。
すると大胆にもハサミを滑らせ衣装を切り刻んでいくレイには度肝を抜かれた。




カメラマンがこんなことまでするの!?
衣装の作り手の気持ちは!?
ロングだったスカートがミニになっちゃった。
しかもざく切りで切り方がザツ……




「ホツレ、直しますか?」とスタイリストの声にまさかのストップ。
「このホツレがメグミちゃんの脚を魅了するんじゃん?」と楽しそうに言う。




「レイさんにそこまで言われたら照れる〜」




「照れたメグミちゃん皆見てみたいってさ」




正直、唖然とした。
本来ならこの衣装で撮ってたんだろう。
それを急遽変更して形を変えるなんて……
こんな臨機応変が存在するなんて……
やっぱりプロ中のプロなんだね。





< 77 / 158 >

この作品をシェア

pagetop