揺れる被写体〜もっと強く愛して〜



ちょっと待って、
ここで休憩入れたらまた最初から雰囲気作りしなきゃダメなんじゃないの?




「いや、大丈夫です」




「え〜寝落ちしちゃうのに?」




ウッ……!
言い返せないけど……




「撮影、立て込んでるんでしょ?俺だけに時間かけるとか申し訳ないっていうか…」




スタッフさんだって早く終わりたいだろうし。
俺は出来れば長く撮ってたいけど彼女の手は煩わせたくないのが本音。




「そんなの気にしなくていいのに。だって私、被写体ファーストだし?急いだって良いもの撮れないならいくらでもストップかけるよ」



被写体……ファースト、か。
やっぱりそう見られてるんだよね。
なんだ……がっかり。
少し俯いたら顔を覗き込んできて。




「ほんと、何しでかすかわかんない被写体さんだけど」




カメラをテーブルに置いてパソコンを持って来てくれた。
今まで撮りだめした写真を一覧に出してくれて「駿くんも見てみ」っていきなり下の名前で呼ぶとか狡すぎるから。




他のスタッフさんたちは休憩に入らせて……
え?2人きり!?
マジか……




床に並んで座り写真を見ていく。
「見てて」とどっか行っちゃったかと思えばコーヒーを入れて持って来てくれた。




「え、こんなのも撮ってたの?」




ロケーション撮影での休憩中も密かに撮られてた。




「ずっと撮ってたいのよ、良い被写体見つけるとね」




フッと笑う横顔があまりにも綺麗で、それが素なのか建前なのかはわからなかった。




「やっぱり被写体イジメ抜くって本当なんですね」




「えっ!?」






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