揺れる被写体〜もっと強く愛して〜
「Wikipediaにそう書いてありました」
「あぁ……ハハハ、見たんだ?そうだよ〜次の撮影が楽しみ」
「え、まだイジメるんすか?」
「まだって?」
「もう充分イジメられてる気がするんですけど?」
「いつイジメたのよ私……」
「上手く被写体ノせといてシャッター切り終わったらハイ終わり、みたいな」
「アハハハ…!よくわかってる!」
「わかりたくないよ、こんなの」
「あ、この顔好きだよ。表紙いけそう…」
あっさり話題変えちゃうとこもね。
画面に目を移すと橋の上で撮ったワンショット。
手すりに手を付きながらカメラ目線。
太陽の木漏れ日が髪を透かしてる。
これ、レイさんに向けた笑顔だったんだけど。
自分で言うのも何だけど、本当良く撮れてる。
俺、こんな顔も出来るんだな。
やっぱりこれって……レイさんだから?
「次のシーンって………」
「あぁ……ちょっと長めに撮るかも知れないからトイレ済ましておいてね?」
立ち上がろうとする手を掴んでしまった。
「まだ恋人のフリしてていいんだよね…?」
何の確認だよって聞いた時点で恥ずかしくなったけど、すがるように困らせてみたくもなった。
真っすぐ見つめ返してくれる視線。
それだけで心臓が爆発しそうだ。
「思う存分してくれたらいいよ?まぁ、私も攻めるけど」
「え…!?」
ニヤリと笑う彼女に喉が鳴る。
スタッフさんが戻って来て撮影が再開した。
細かい指導のもと、再び一眼レフを構える仕草さえ色っぽく見える俺ももうスイッチ入っちゃってるのかも。