揺れる被写体〜もっと強く愛して〜
クスッと笑われて髪を撫でられた。
またあの時みたいにドキッとする。
「その瞳だよ、出来るじゃん」と笑う。
わしづかみされた心臓が言うことを聞かなくて、セットの中。
さっきメグミちゃんにしていた顎クイをレイにした。
高ぶる緊張が伝わってしまわないよう必死に冷静さを装い壁に押し付ける。
「じゃあ、レイが練習台になって?」
真っすぐ僕を見つめながら、表情ひとつ変えないで「いいよ」と言ってくれた。
少し身長差はあるけど、レイになっただけでこんなに心臓が暴れる。
至近距離での上目遣いにドキドキしながら顔を近付けていく。
寸前で止めたらゆっくり視線を上げてレイと見つめ合った。
頭のてっぺんまで血が上る。
「いいね……その瞳。ゾクゾクする…」
こんなこと言われたら落ちてしまうのは仕方ないじゃないか。
唇に視線を移したらパフッと手で口を押さえられた。
もう一秒遅ければキスしていた…かも。
「その瞳で撮影続行してくれる?」
「わかり、ました…」
体が離れてスタジオから出て行く。
他のスタッフが出入りし始めて火照った体を必死に冷ます。
すぐにサインをお願いされて助かった。
笑顔で応える。
撮影が再開された後は、仰せの通りあの瞳で挑めたと思う。
メグミちゃんには悪いけど……
レイだと思って撮影に挑んだ。
一発OKで終了した僕は皆さんにお礼を言って着替えに入るよう促される。
それを断り
真っすぐあなたの元へ行く。