揺れる被写体〜もっと強く愛して〜
「もう一度会いたくて追いかけて来たんだけど、そろそろ本題に入ってもいい?」
そう言うと手を止めて僕に目を合わせてくれた。
「どうしてあの時僕だけ別撮りしたの?」
「ん?そうだったっけ?」ととぼけられる。
「急に帰ったから話も出来なくてショックだったよ」
「そ、そうなんだ?えっと、これはゴメン…なのかな」
「だから改めて言うよ?レイ、僕を好きになってください」
まだ他にスタッフが散らばっている中の告白に皆がフリーズする。
マネージャーの言葉を理解していない訳じゃない。
でも、このまま何も進展しないままこの場を去ることは出来なかった。
ちゃんとレイの心に爪痕を残せているのか確かめたかったのかも知れない。
動揺する素振りもなく、真っすぐ僕を見上げる視線に負けじと応戦する。
「アハハ、日本語上手だね〜」
そうやってはぐらかすことは想定内だよ?
でも僕は譲らないから。
「僕の恋人になってください」
「わーお、大胆…」
「レイ、あなたを幸せにします」
「一旦落ち着こうか?皆見てるし」
あれ?日本人はストレートな言葉に弱いんじゃ…?
皆が見てるのとか全然問題じゃないし。
むしろ、好都合……
スッと顔を近付ける。
周りはキスするんじゃ…とでも思っただろう。
だけど寸止め。
「全く動じないって噂は本当だね?やっぱり僕も被写体の一人…なのかな?」
「動じないイコール興味がない、だからね?」
「うっ……!」
「何ならまだ撮ってあげようか?」
「うぅ………」
「アハハ、もう少しで終わるから待ってて?皆でご飯どう?」
「…うん!」