想われて・・・オフィスで始まるSecret Lovestory
どうしよう…
何ごともなかったように午後の業務をこなす直斗さんの隣で、わたしは呆然としていた。
仕事に集中しようとするのだけどうまくいかず、直斗さんにフォローしてもらう始末だ。

「見積もり、僕にファイル転送してくれれば、あとはやっておくんで。もうあがっていいですよ」
定時を回って直斗さんにかけられた言葉に、わたしはなにも言えずに頭を下げてフロアを後にした。

直斗さんがいなくなってしまう。
彼からプロポーズ? わたしがミラノに留学? 佐倉さんと別れる!?
絵里子に「わたし佐倉さんのことしか考えられないのに」なんて大見得切っておきながら。なぜこんなに動揺しているんだろう。

デザイン部での仕事がこなせるようになったと思っていたのは、直斗さんの存在があったからだ。
自分の未熟さに気がついたところで…どうすればいいんだろう。

絵里子に相談するという選択肢は、とりあえず消去した。
自分のことだから。自分で考えて結論を出さなければ。
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