想われて・・・オフィスで始まるSecret Lovestory
「直斗の留学の話は寝耳に水だっただろうし、混乱させて申し訳なかった」

佐倉さんに気遣わせてしまって、申し訳ないのはこっちのほうだ。
恋人であっても、チームの人事異動を口外するのは公私混同にあたる。知っていながら、胸におさめていなければならなかった佐倉さんのほうが苦しかっただろうに。

「チームとしても、直斗の存在は大きい。各部署に当たって、しかるべき補充のメンバーを探しているところだ」

驚き、惑い、悩んで、答の出ないまま、恋人に心配をかけてしまっている。そんな自分が情けない。

「取り乱してしまって、ごめんなさい」
無理に微笑んでみせる。

「早く休んだほうがいい」
努めて感情を出すまいとしているのか、佐倉さんの表情も硬い。

うなずいて寝室に引き上げた。
今夜はなかなか寝つけそうにそうにない。
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