想われて・・・オフィスで始まるSecret Lovestory
時は流れ、すべてのものごとは移り変わってゆく。誰もそれを止めることはできない。

年末という時季のせいか、わたしはすこしセンチメンタルになっていた。
忘年会はチームのメンバーだけでささやかに行った。

慌ただしい年末進行の業務に身を置いていれば、気づけば仕事納めだった。

年末年始は例年どおり、静岡の実家に帰省した。
地元の友達と会ったり、正月にはお母さんが作ったお雑煮を食べて家族で初詣に行って、とゆったりくつろいで過ごす。

東京の一等地にある大型複合ビルの空間デザインに携わることになった、っていう報告ができたのは誇らしかったけど。
本当はもっとお母さんが喜びそうな話がしたかったんだけど、とチクリと胸が痛んだ。

ここ数年、帰省のたびに冗談交じりに「仕事もいいけど、誰かいいひといないの?」と聞かれていたから。
佐倉さんのことを言いたかった。「お付き合いしてるひとがいるの」って言えたらよかったのに。

いつもわたしのことを気にかけてくれる両親に相談できる話じゃないから。
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