高嶺の花沢さんは恋の仕方がわからない
「花沢さん、理解がありますね。

仕事ができる人は恋愛も上手にできるって言う説は本当なんですね、尊敬します」

「そ、尊敬…?」

そんなことを言われたのは初めてで、何を返せばいいのかわからない。

と言うか、私は尊敬できる人間じゃない。

志田さんを始めとする周りが思っているような人じゃない。

「恋愛も仕事のいいモチベーションになりますよね、勉強になります」

「そ、そうね…」

違う、そうじゃない。

私が言いたいのは、そう言うことじゃない。

そもそも、私は…みんなに尊敬されるような人間じゃない。

「お互いに頑張りましょう」

「え、ええ…」

さっさと自分のデスクに戻って行く志田さんに、私はどうすればいいのかわからなかった。
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