高嶺の花沢さんは恋の仕方がわからない
何かものすごいオドオドしてたし、もういいよって言いたくなるくらいに何度も謝りまくってたし…。

同姓同名の人物か?

…でも、こんな珍しい名前の人物は他にいない。

と言うか、知らない。

「会社で渡すか」

もし違っていたら今度こそ店員に預けることにしようと思いながら、俺は彼女のポイントカードを財布の中に入れた。


週末が明けて、会社で渡しそびれてしまったポイントカードを彼女に返したら、
「なっ、ぎゃっ…!?」

あの時と同じ、彼女は動揺しまくっていた。

もしかしたら、
「ああ、そっちが本性なんですか?」

こっちが彼女の本当の顔なんだと、俺は思った。

高嶺の花と崇められている仕事がデキる彼女の顔は、人とまともに話すことができないコミュ障の女だった。
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