あなどれないね、世唯くん。
……あっ、そういえばそんなことあったような。
しっかり話を聞いてたら思い出してきた。
自分の体調もすごく悪かったけど、それより目の前に寝てる子のほうがつらそうだと思って。
ただ、わたしがしてあげられたことは真尋くんがいま言ったことだけ。
「あのとき……ありがとうな。
今更って感じかもしれないけど」
「う、ううん……」
でもどうして、今になってこの話をしたんだろう…?
「……単純かもしれないけど、その時の俺からしてみれば花町はすげーいい子だと思った。
自分もつらいのに、他人のためにしかも俺のことなんて全く知らなかったのに、いろいろやってくれたから」
「そ、それは…困ってる人とか、大変な人がいたら放っておくのは違うかな…みたいな」
「……そういう優しいとこ、すげー好きって思った。他人に優しくするって、簡単に見えて難しいと思うから」