あなどれないね、世唯くん。



引きたいのに、引けない……。

視点は握った手に集中する。


いま千景くんと目を合わせてしまえば、顔を見られてしまうから。


ぜったい見られたくないし、自分でも見たくない。


きっと思っていることが、そのまま顔に出ているだろうから。



「━━━何も言わないなら……」


落ち着いた声とは正反対に、

スッと顎に手が添えられて、

強引にクイッとあげられた。



「無理にでも言わせたくなる……ね」


片方の口角をクイッとあげて笑った顔は、逃がさないよって言っているみたいで。


「は、離して……っ」

「やだよ。この手がなんの意味なのか教えてくれないと離してあげない」


ずるい……っ。

ここで意味なんてないっていったら、どんな反応される…?


だけど、自分でもよくわからないのも事実で。

どうして、こんな気持ちを千景くんに対して抱いているのか……。

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