あなどれないね、世唯くん。



「わ、わかんない……の」

「……?」


「ただ……千景くんが教室出るときなんか不安で、戻って来てくれなかったら、寂しいなって思った…から」


あぁ…ますます顔を見られたくない。

どんどん熱を帯びていく自分の頬。
見なくたって、触らなくたって、内側から熱くなるような感覚があるから、自分の顔が赤いことがわかる。



「俺がいなかったから寂しかった?」


ぜったいおかしいのに。
千景くんとはそんな深い仲じゃないんだから、こんなこと言うの。


だけど、寂しかったのは事実……。

だからゆっくり首を縦に振りながら……


「も、戻って来てくれたとき、ちょっとだけホッとしたの……っ。このままわたしのこと置いてどこか行っちゃったのかと思った…から」


顔をそらすことを許されない状況だから、恥ずかしさを必死に隠すために、ベストの裾を握る力を少し強めた。


すると、裾を握ったはずの手がスルリと引かれて、代わりに千景くんの指が絡んで握ってきた。

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