あなどれないね、世唯くん。



「あっ……家が見えてきた」

や、やっと着いた……と思った瞬間。


「……ひえっ、なに!?」

地面についていた足が浮いた。
というか、身体ごとひょいっと持ち上げられた。


「もう家の近所だからいいでしょ。
抱っこして家の中まで運んであげるから」

「ちょ、ちょっ……」


たしかにもう家ほぼ目の前だけど、ご近所さんとかに見られたらどう説明したらいいの……!

ましてや、家族にこんなところ見られたら……。


はっ、しまった。
ついこの前のデートの時、お母さんにからかわれたばかりだった。

もしここで世唯くんと鉢合わせでもしたら、いろんなことを聞いてくるに違いない。


こんなところ見られたら、ぜったいぜったいノリノリで話を聞いてくる。


「せ、世唯くん、わたし歩ける、から」

「ダメ。もう家近いからいいでしょ」

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