あなどれないね、世唯くん。



「し、知らない……っ」

ただ、さっき千景くんが"加奈"って呼んだ声が耳に残りすぎて、早く忘れたい。

あんな……愛おしそうに呼ぶ声なんか。


「じゃあ……お詫びに花町さんの言うことなんか聞いてあげる。これで許してくれない?」


「……なんでも、聞いてくれるの?」


「聞ける範囲ならね」


"なんでも"なんて、そんなこと言われたら、欲張っておとなしくいられない自分が出てくる。


きっと、わたしは全然

━━━イイコじゃない……。



「じゃあ……これからもこの部屋に来たい」

「ん、いいよ」



「あと……この部屋にいるときだけは、わたしのして欲しいこと、ぜんぶして……っ」


こんなことを口にするのは、ワルイコの証。



「……花町さんって、
俺が思ってるよりワルイコ……なんだね」


驚く様子なんか見せずにフッと笑いながら、わたしの身体をソファに押し倒した。


「俺、そーゆー子めちゃくちゃ好き」

「っ、」


耳元でわざと甘くささやいてくる。

耳たぶのあたりに千景くんの唇が触れて、すごくくすぐったい。

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