あなどれないね、世唯くん。
***
「お、お邪魔します……」
あまりに急すぎる展開。
まさかこんなかたちで世唯くんの家にお邪魔することになるとは……。
男子高校生が1人で暮らすにしては、少しだけ広くて豪華なマンション。
世唯くんってぜったいお金持ちだ……。
とりあえずフラフラの世唯くんをベッドに寝かせてあげなくてはいけない。
今もわたしの隣で意識をなんとか繋いで立っている世唯くんを支える。
「え、えっと、寝室ってどこにあるのかな」
玄関から長い廊下一直線で、左右に部屋の扉らしきものがそれぞれ3つくらいある。
「……いちばん奥の、左側の部屋」
「わ、わかった。そこまで歩ける?」
……というか、歩いてもらわないと困るんだけども。
わたしが力持ちだったら、世唯くんをひょいっと抱っこして運んであげられるんだけど。